カテゴリ:峠の茶屋 Touge-no-chaya( 5 )

峠の茶屋 Teahouse on the pass 2008〜2010

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峠の茶屋 Teahouse on the pass :
展望テラスのついた、土と竹と廃材によるコミュニティ空間。
高速道路建設のためによぎなく撤去される大藪農園の駐車場の一角に、
土塀を延長すべく建てられた。アクアカフェの前身。

Community space made with earth, bamboo and scrap woods from destroyed houses and forests by the construction of highway. It was built at the corner of Mr. Oyabu's parking lot in order to extend the wall of Mr. Oyabu's house.
Teahouse on the pass is a kind of antecedent of Aqua-Cafe.

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峠の茶屋 Teahouse on the pass (1):峠の茶屋 計画
峠の茶屋 Teahouse on the pass (2):峠の茶屋 制作
峠の茶屋 Teahouse on the pass (3):峠の茶屋 お披露目茶会+ミニ映画会
峠の茶屋 Teahouse on the pass (4):峠の茶屋 解体

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by aKCUA-Cafe | 2010-09-02 06:00 | 峠の茶屋 Touge-no-chaya

峠の茶屋 Teahouse on the pass(1)

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アクアカフェには二つの前身がある。
その第一は、大藪家の駐車場の一角に建てた「峠の茶屋」(2008.8~2010.4)である。

大山崎街道(西山街道)は、昔、大山崎から沓掛を経て丹波へ荷物を運ぶ牛馬が行き交ったそうで、大藪家はちょうどその峠のような位置にある。
九社神社参道入口にもあたり、石燈篭が立っていて、かつては付近に一休みするための茶屋があったという。

これをふまえて、2008年7月に行われた「みどりの停留所」展において、井上明彦が『峠の茶屋計画』を発表した。
「峠の茶屋計画」は、道路工事の進展による家屋取壊しが続くなかで、地域から廃材を集めて、大藪家の駐車場の一角に即席でつくった仮設構造体。大藪家が土塀もろとも取り壊されることを見越したうえで、その土塀を延長することを訴えるものだった。
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『峠の茶屋計画』↑ 天井には「土塀延長」と大書された。↓
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これを発端として、「みどりの停留所」展終了後、大藪家の賛同を得て、同じ場所に『峠の茶屋』を建設する作業が始まった。

制作にあたって、極力材料を買わないこと、地域から出た廃材を利用すること、土塀の延長となる壁にはやはり地域から土を入手して用いること、が基本方針となった。

制作にたずさわったのは、井上明彦と、京都芸大生(当時)の山口哲史、富元秀俊、中岡庸子(いずれも「みどりの停留所」展参加者)、堀内航、上坂秀明の6名であった。
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『峠の茶屋』の建設プロセスは、われわれが日干しレンガづくりや石積み技術を手探りする機会であったが、同時に、公共空間において空間を構築する作業は、老人や子供たちを含めた地域の人々のあいだに新しい交流を生み出しうることを実感としてつかむ機会となった。
例えば、老人の持つ知恵(ワラの編み方や石積みの技術)がわれわれや子供たちに伝わり、それが空間形成にフィードバックしていく。

技術のオープンな共有と同様、廃材になった素材群もまた、無償で多様な使われ方に開かれている。
大原野神社の敷居の廃材が峠の茶屋の梁になり、取壊し民家の梁や銀杏の生木が柱になる。
オープンソース、オープンテクノロジーという、『アクアカフェ』の中核をなす制作思想も、ここで培われた。


峠の茶屋 Teahouse on the pass (2)

峠の茶屋 トップ Teahouse on the pass top



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by aKCUA-Cafe | 2010-09-02 05:00 | 峠の茶屋 Touge-no-chaya

峠の茶屋 Teahouse on the pass(2)

「大藪家の土塀延長」をコンセプトとした『峠の茶屋』は、2009年4月に完成した。
作業がもっぱら毎週木曜の午後だけだったため、完成には半年要した。

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『峠の茶屋』は、かつてあった土塀の跡地に建設され、同じく道路工事で消えゆく周囲の景観との密接な連関の中にかたちづくられた。
円窓からは、真正面に九社参道の石灯籠が見える。
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壁は、土塀に続く西側が日干しレンガ積み、東側が竹小舞下地の荒壁の2種類。
アフリカ風の梯子で2階テラスにあがると、峠の風景が一望できる。
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『峠の茶屋』は、バス待ちや買い物のあと、ちょっと一服できる憩いの場であり、地域の小さなコミュニティ空間でもある。


壁には、次の説明文をかかげていた。
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「この「峠の茶屋」がある道は、西山街道といって、古くから沓掛村と大山崎を結んだ道です。
この峠を北に下りて(国道9 号線を越え)小畑川を渡る辺りが、京都の西の端・沓掛村、南に下りると大原野から長岡京へと通じています。
この茶屋がある大藪家は、江戸時代からこの地にある300年来の旧家で、風情のある土塀に沿って西山の方に向かうと九社神社があり、ここは参道の入口にあたります。かつてこの地には静かな里山の風景が広がり、街道を行く人が一休みする茶屋があったと云われています。
京都第二外環状道路の建設のために、近い将来、この大藪家は取り壊される運命にあります。
失われる美しい土塀と里山の風景を心にとどめるため、私たちは、土塀を延長するように、この茶屋を建てました。
材料はすべてこの土地から得ています。土は旧山陰道の工事現場で分けてもらい、藁は大藪家の田から、木材は取り壊された民家の廃材や大原野神社の敷居、イチョウの木は大原野の大工さんから、石も建て替えられた近所の農家からいただいています。土塀は練り土積みという古い工法でできていますが、竹小舞や左官を含め、こうした伝統的な技術を学ぶことも私たちの課題でした。
円窓から見えるのは九社神社参道の石燈篭です。にじり口を上ったテラスからは峠らしい風景を楽しむことができます(上る際は気をつけて下さい!)。
手づくりの粗野な茶屋、しかもふだんお茶もでませんが、どうかごゆっくりお休みください。」

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b0205315_23443848.jpg峠の茶屋 Teahouse on the pass (3):お披露目茶会 へ

峠の茶屋 トップ Teahouse on the pass top



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by aKCUA-Cafe | 2010-09-02 04:00 | 峠の茶屋 Touge-no-chaya

峠の茶屋 Teahouse on the pass(3)

2009年4月19日、『峠の茶屋』の完成を祝う「お披露目茶会」が開かれた。

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春のうららかな日差しの中、大藪さんはじめ、お世話になった近所の方々、美術家・建築家の方々、芸大設備課の方々が来てくださった。
学生たちが手づくりのお茶とお菓子、音楽でもてなした。

詳しくは、つちのいえ PLUSのブログにて

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同じ2009年8月22日夜、大藪家での地蔵盆に合わせて、峠の茶屋でミニ映画会を催した。
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峠の茶屋 Teahouse on the pass (4):解体 へ

峠の茶屋 トップ Teahouse on the pass top




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by aKCUA-Cafe | 2010-09-02 03:00 | 峠の茶屋 Touge-no-chaya

峠の茶屋 Teahouse on the pass(4)

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大藪家は、いよいよ今年(2010年)連休明けに取り壊されることになった。
大藪さんに迷惑がかかってはいけないので、敷地の一角に建てさせてもらった「峠の茶屋」を、まえもって解体・撤去する。上はその告知チラシ。

お披露目からちょうど一年の命だった。

姿かたちがこの場所から消えるとはいえ、材料は再利用をはかる。

解体作業の前に、解体の儀式を行う。
仕切るのは、地元の建築士で、大枝アートプロジェクト実行委員長の西小路敏さん。
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解体式には、顧問の小清水漸先生(彫刻家・京都芸大名誉教授)も参加くださった。
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テラスから峠の風景を眺めるのもこれが最後。
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作業は、「解体」というより「分解」というべきもので、丁寧に順に部材を取り外していく。
材料は芸大に持ち帰って、「つちのいえ」ほかのために再利用する。

『峠の茶屋』の作業を通して、われわれは、制作と解体の一方通行的関係が、双方の循環的関係に転化することを身をもって自覚した。解体は、同時に新しい素材の獲得でもあり、次の創造への入口なのだ。
これは、これまでの美術や建築を支配する人間中心の創作観からの離脱の可能性を示唆する。
人間にとっては、茶屋の形態は消滅したのだが、材料にとっては、形態から開放され、新たな可能性の地平に移されたのにすぎない。
こうした物質存在の循環性をもっとも高いレベルで体現するものこそ、「土」にほかならない。

この認識は、次のプロセス、「壊される大藪家の土塀の土すべてを救出し、再利用をはかること」へとわれわれを導いた。


 ⇒ 峠の茶屋 トップ Teahouse on the pass top

 ⇒ 材料調達:土、竹、ワラ、水 How to get materials



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by aKCUA-Cafe | 2010-09-02 02:00 | 峠の茶屋 Touge-no-chaya


水のゆくえ/アクアカフェ2010ドキュメント


by イノウエアキヒコ

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大藪家 Oyabu's house
峠の茶屋 Touge-no-chaya
土のいえ Earthen house
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5日間カフェ 5days of café
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