構造体(4):素材と構造〜二つの回帰 two returns

b0205315_242623.jpg制作中、素材と構造に関わる興味深い発見が二つあった。

ひとつは竹小舞の失敗から生まれた。

7月25日(日)、朝9時、左官職人の松下輝孝さんがミキサーをわざわざ持ってきてくださった。
一週間貸してくださると言う。
夏の炎天下で、人手の少ないなか、土を手で練るのはしんどいなと思っていたので、おおいに助かる。

さっそく土塀の土塊を掛矢で砕いて、用意していたワラを入れ、土を練る。


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竹小舞に試し塗りしてみたが、竹どうしの間隔がやはり大きすぎた。
能率アップのため、縦竹の数を減らして間隔をあけた。最大5〜6cmとしたが、手伝ってくれる学生によっては10cmくらい空けている。忙しすぎて、全体の進行をうまくコントロールできない。
また、土落ちをふせぐために巻いた黒のシュロ縄から、染料が土にしみ出て、変色させている箇所があった。
黒のシュロ縄は、竹小舞全体に巻いたときの美しさを思って導入したのだが、色落ちが想像以上だった。
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竹小舞の補強に、予定していたワラ縄ではなく、ゴミとして捨てていた竹の端材を使うことにした。
細すぎたり、短すぎたりする割竹を、横方向につないで通すことで、広すぎる小舞の間隔を補う。ワラ縄を巻き締めるより手間がかからず、しかも捨て竹を使うので、作業を通じてゴミを減らせる。
通常の制作過程だと、途中で出る端材や木っ端はゴミ箱行きだが、ここではゴミが新たな素材として制作過程に回帰してくる。これはのちの落ちた土の再利用についてもいえる。
何か従来の一方通行型の創作とはちがう次元に入っていることを実感する。

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もうひとつは、竹によるシェル構造。
楕円形平面をキープするために、ワイヤーでテンションを補強しつつ、柱どうしを竹のアーチでつないでいたのだが、いつのまにかロマネスク教会の屋根のような交差ヴォールト構造になっているのだ。
拾い集めた竹は、厚みやしなり方がバラバラなので、ひたすら強度や構造上のバランスを念頭に作業していた。そうしたら、いつのまにか歴史的建築の構造合理性に遭遇した、というべきだろうか。機能と構造と形態のあいだには、力学上、普遍的な関係がある——頭でわかっていたことが身体的に納得できた瞬間だった。

一方、制作中、原始的な教会のイメージが、何度も飛来した。
また何人かの観客から、「原爆ドームを想起する」とも言われた。
第一竪坑の工事の犠牲者を思ってつくっているから、ある意味で当然かもしれない。

自然と歴史が回帰してくる。


構造体(3):二重竹木舞 double bamboo mesh
内壁 inside of wall: 内壁の土塗り(1) 7/30〜8/1

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by aKCUA-Cafe | 2010-09-05 20:00 | 制作プロセス process


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