構造体(2):基本構造 fundamental structure

7月1日(木)午前9時半、柱12本を建てる基礎工事を始める。

「生存のエシックス」展のオープニング・レセプションは、7月8日(金)。それまでにかたちの輪郭だけでも立ち上げておこうと作業に入る。だが、季節は梅雨の真っ最中である。

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竹柱は基礎を打たず(打てず)、石貼りの床面に敷いたシートの上に建てる。
平面は円ではなく楕円。割り竹を胴巻きにして固定するが、太さも厚さもまちまちな柱12本が、楕円上にすんなり建つわけがない。前後左右、ばらばらな方向に傾く柱に苦戦。
予備に持っていった角材を組んで支えにする。
長谷川直人さん(陶磁器専攻教授、土造形の科研メンバー)、「生存のエシックス」展の展示デザインを担当する塩崎デザインのスタッフが手伝ってくれる(後者は午前中のみ)。
この日から最後まで、長谷川さんは時間があれば来て、施工を手伝ってくださった。作業は、ほとんどわれわれ二人で進めたといって過言でない。
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同日、夕方の状態。まだ先が長そうである。
足場にはまだ防音シートをはっていない。

7月2日(金)水中ポンプの汲み上げ実験。午後、柱の補強と、屋根に着手。

7月3日(土)、雨で作業できず。
この日、他のプロジェクトの作品や資材がいっせいに美術館に搬入される。

7月4日(日)、ワイヤーを張って楕円のテンションを保持し、屋根の軸となる竹を渡す。
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屋根のアーチができて、建物のシルエットが見えた。
筋交いを入れて補強しているが、柱はまだばらばらと傾いている。支えもまだはずせない。

7月7日(木)、外壁に竹小舞をつけていく。
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柱の厚みを介して、外側と内側に二重に竹小舞をはり、土を塗ったときの壁厚をかせぐ独自の「二重竹小舞」
竹は、美術館北側の資材置き場から運んで、現場で切って割る。
美術館の床の目地が格子状で、竹を3mに切りそろえるのにたいへん効果的だ。
芸大音楽棟裏のステージもそうだったが、規格材を使った建物の床は、方眼紙のように役に立つ。
目地だらけの都市の人工空間はそのままアトリエになりうる。
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ワイヤーを張ってようやく支えなしで全体のかたちがキープできるようになった。
7月8日(金)のレセプションになんとかまにあわせるべく、入口側の壁の外側半分にだけ竹木舞をまわした。
入口は小さいが、筋交いを入れた構造上、強度を保つにはこれしかない。
理由を聞かれたら、「にじり口」だといえばよい。
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防音シートも張り巡らした。(美術館の階段からの眺め)

7月8日(金)、午後5時、「trouble in paradise / 生存のエシックス」展レセプション。

美術館3階会場のプロジェクトは、基本的にハード面がすべてできあがっている。
前庭と一階を担当する中ハシ+井上の「水のゆくえ」プロジェクトは、現場でのwork-in-progressなので、まだかたちをなしていない。
アクアカフェは「何やら竹でつくっている」というレベル。土も水も、メイン素材はまだ見えない。
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出品作家のスティーブ・カーツ(Critical Art Ensemble)が、美術館のまえで無料でビールとタバコを配るパフォーマンスを行う。
「介入の芸術 Art of intervention」。
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中ハシ克シゲさんが、自転車をポンプ代わりにこいで水を浄化する「シクロクリーン」のデモンストレーションを行う。
この自転車搭載型災害用浄水器は、中ハシさんがインターネットで探し出してきた「日本ベーシック」という会社の製品。水というライフラインから「生存のエシックス」にアプローチする「水のゆくえ」プロジェクトにふさわしい、と借りてきたものだ(有料)。
安全上、これで浄化した水を来館者にふるまうわけにいかなかったが、のち、アクアカフェ完成後、器を洗う水のために大活躍することになる。


構造体(1):スケールのスタディ study of scale
構造体(3):二重竹木舞 double bamboo mesh

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by aKCUA-Cafe | 2010-09-05 22:00 | 制作プロセス process


水のゆくえ/アクアカフェ2010ドキュメント


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