琵琶湖疏水:第一竪坑 The First Pit Shaft (1)

アクアカフェの楕円形平面のモデルは、琵琶湖疏水の第一竪坑である。

琵琶湖疏水は、1885(明治18)年8月6日、まず第一竪坑から着工した。
三井寺の脇から山科の藤尾に抜ける第一トンネルは長さ2436m、当時日本最長で、人力でそんなに長く一直線に掘り進むのは無理だから、両側から掘り進めると同時に、山の上から垂直に穴を掘り、そこから両方向に掘っていくシャフト方式を採用した。疏水設計者の田邉朔郎の発案で、日本初の竪坑である。
深さ約47m、これで工事促進、採光、換気をはかる。
だが、現在のような掘削機などない。人力による手掘りだ。掘った土の搬出は人力エレベーター。膨大な湧き水が出て、それも汲み出さねばならない。今からは想像を絶する難工事で、数人の坑夫が転落して命を落とした。
だが、この命がけの工事ができなければ、第一トンネル開通は不可能、したがって琵琶湖疏水そのものもできず、京都の都市近代化もまったく異なるものになっていただろう。

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2010年2月19日、疏水フィールドワークで、洗浄のため止水された第一トンネルに入った。そのトンネルの暗闇のなかで、下から第一竪坑を見上げる機会があった。
Rをつけた手焼きの煉瓦が丁寧に手積みされ、動きのある美しい曲面をかたちづくっている。

見事だった。

50m近い穴の深さは、真底からは実感できない。
全体が視覚的につかめないこの垂直の穴が、近代京都の水の要となったのだ。
何か、「すべてがある」、そう直感した。
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第一竪坑の設計図面(田邊朔郎『琵琶湖疏水工事図譜』明治18年刊 より)。

疏水事務所から依頼を受け、第一竪坑案内板をデザインしているとき、関連資料としてコピーさせてもらったなかにあった。
長軸3.2m、短軸2.7mの正楕円。
この楕円からアクアカフェのかたちとプロポーションを引き出そうと決めた。
水をテーマにするアクアカフェにこれほどすばらしいモデルはない。
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同2月19日のフィールドワークで。第一竪坑の地上部分。
第一トンネル出口から東へ740m、近江と京都を結ぶ山道・小関越えの旧道をはずれた山中にある。現在は古い煉瓦積みの円筒(直径5.5m)がひっそり建っているが、上部が半ば崩れ、立入り禁止区域になっている。


琵琶湖疏水:第一竪坑(2)
琵琶湖疏水 Lake Biwa Canal top




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by aKCUA-Cafe | 2010-09-11 10:10 | 琵琶湖疏水 Biwako Canal


水のゆくえ/アクアカフェ2010ドキュメント


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